ひとことで「塗装」と言っても、その種類や用途は実に多岐にわたります。金属塗装、木工塗装、自動車板金塗装、建築塗装など、それぞれに特化した技術や工程が存在します。
私たち東京工業塗装協同組合が担っている「工業塗装」は、その中でも主に工場内で行われる産業用製品の塗装を指し、広い分野で必要とされる専門技術です。
具体的には、電気製品や携帯電話などの通信機器、電気設備の配電盤、店頭や施設で使われるディスプレイ、自動車の内外装部品、パソコンやプリンターなどのOA機器、さらには建築金物や建設資材といった金属・プラスチック製品への塗装を行っています。
工業塗装は、ただ単に製品に色を付ける作業ではありません。
製品の表面を錆や紫外線、湿気などによる腐食・劣化から守る「防錆・防食機能」、使用環境や仕様に応じた「耐久性・耐候性」の向上、そして製品そのものの魅力を引き出す「意匠性・デザイン性」の向上と、極めて多様で重要な役割を果たしています。
色彩や光沢、手触り、模様といった見た目の印象は、製品の付加価値やブランドイメージにも大きく関わります。
現在の工業塗装技術は、単なる製造工程の一部を超え、製品の性能や価値を左右する“技術の要”といえる存在です。
住宅やオフィス、自動車、スマートフォンなど、私たちの暮らしのあらゆる場面に工業塗装の技術は活かされており、今や現代のものづくりには欠かせない分野となっています。